Ⅱ 二者択一は選ぶなA(10)

Pピリ将FINAL

 

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「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

Ⅱ 二者択一は選ぶなA(10)

 真面目になるな、と言いました。

 これは貪欲になることとも関係しているのです。

 要するに、キャパシティの問題。キャパがなければ、あふれてしまいます。それでは意味がないではないか、と。

 そうではないのです。たとえば、胃袋の場合だと、ふつうの人には限界があります。ホールの収容量なども同様で、席数以上の観客を入れるわけにはいきません。しかし、私たちの脳に関しては、そのような制限はないということを主張したいわけです。

 脳の活動にとって整理は必要かもしれません。断片的な情報をこれでもかと詰め込もうとすると、記憶することはできても思い出すことができなくなります。ですから、整理してインプットし、アウトプットを容易にする必要があるわけです。

 ここでいう整理は、体系化と言い換えてもよいでしょう。読書とインターネット検索の違いは、ここにあると言われています。前者は体系化されていますが、後者は断片的。

 将棋の本も、あれこれつまみ食いしてばっかりだと、知識が断片化してしまい、あまり質の高い記憶とはなりません。それよりは一冊をちゃんと通して読み、繰り返し並べて吸収するほうが質の高い記憶と結びつきます。

 私が棋譜並べを推奨する理由も、このことと関連しています。一局という体系=物語があるので、文脈込みで記憶できることが大きいのです。

 インプットか、アウトプットかという二者択一も選んではならず、両方採る。そうだとするなら、質の高いインプットは不可欠です。

 もう1つ、別の観点から、キャパシティの問題にアプローチしてみましょう。それは外付けHDDを活用するということ。ここでいう外付けHDDとは、レコーダーやパソコンなどに使うあれのイメージです。

 自身の脳だけですべてを処理しようとすると、当然のことながらパンクします。そこで、外部委託してしまおうというわけ。本だったら、買って書棚に置いておくだけでOKですよね。今すぐに読まないとしても、いつか読む可能性があるのであれば、その分、脳のメモリを節約することができるというふうに考える。ノートやメモを書きとめておく習慣も、脳のメモリの節約に貢献します。とりわけある種の発達障害の方などには、この方法が非常に有効です。

 心の問題にも応用できます。感情などは、すべて真面目に受け止めると、あっという間に疲れてしまい、病気になります。現代社会においては、ストレスなど溜めてはいけないので、キャパシティをうんと小さくしておいて、全部、受け止めたふりをして、後ろへ垂れ流す。後ろに巨大な外付けブラックホールを備えていると仮構して、面倒なストレスの種はそこへ全部ぶちこんでおく。必要になったら取り出すこともあるけれども、仮置きの倉庫のようなものだから、数日経ったら自動消去で、サヨナラ、です。

 将棋はメンタルのゲームで、心配ごとがあると、絶対に勝てません。ですから、将棋以外の心配ごとやストレスの種は、すべて事前に摘んでおきましょう。

 あなたが将棋に勝てないのは、意外と将棋の実力というよりは、仕事の能力の問題である可能性もあるんですよ。

 あ、これこれ、この厳しい教えを即、後ろへ流そうとしているのは誰ですか?