Ⅰ はじめに感動ありきB 棋譜並べ(4)

Pピリ将FINAL

 

f:id:Shouldgo:20180205143357p:plainf:id:Shouldgo:20180205143357p:plainf:id:Shouldgo:20180205143357p:plain

 

「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

Ⅰ はじめに感動ありきB 棋譜並べ(4)

 仕事というものは、一気に100%完成させるようではいけません。

 少し粗があるぐらいのほうが「完成させよう」という欲望の力を借りることができます。

 ランチェスター戦略を援用すると、25%、40%、70%ぐらいの支配率のほうが最適というのが私の持論です。

 たとえば、1週間をかけて棋譜並べをする計画を立てるとしましょう。私ならば、初日は序盤だけを調べて、終わり。その代わり、別の定跡書などを勉強したり、以前に並べていた棋譜を復習したりします。

 「楽しみを残す」という発想。

 芸術作品などを創造するとき、一気に成し遂げてしまうのではなく、中途半端なところで止めておいて、翌日、続きをやるほうがはかどるというテクニックに似ているかもしれません。

 小説を書くとして、キリのいいところで終えるのではなく、中途半端なところで書きかけにしておいて、翌日、改めて書き継ぐほうがうまくいくのと同じです。このブログも次に書くことが決まっている状態で、擱筆するように心がけていますよ。

 2日目は、封じ手の局面までを繰り返し並べます。やっぱり途中まで。その代わり途中までを何度も並べて完璧にしておきます。

 しかし、そうはいっても、やはり中途半端ですから気になるわけです。気持ちが悪いわけです。一晩、その局面を考え続けるというのも、タイトル戦に出場した棋士になった気持ちを追体験できるので、楽しいですよ。

 3日目は、思う存分、神速棋譜並べをしていきます。ただし、ノルマの10回になる前に切り上げます。7回ぐらいがベストでしょうか。

 4日目は、残りのノルマの3回を仕上げるのではなく、後手番から7回ぐらい並べます。

 5日目に、いよいよ先手番と後手番で残りの3回ずつを片づけます。時間を計測して、なめらかで最速の並べを目指します。実際は、3回ぐらいで満足することはほとんどなく、追加で何回か上積みします。

 6日目からは、盤駒は使わず、暗譜暗誦に移ります。脳内将棋盤を活性化することは大きな目的の1つなので、目を閉じて、脳内で盤面(駒台を含む)を再現しながら、スムーズに符号を唱えていきます。

 7日目は、光の速さに挑戦します。符号を口にするときも雑になります。26、84、25、85というように、駒の名前は省くのが私の流儀です。

 その次は、マス目の位置も省きます。ここまで来ると、もう言葉も符号も要らない世界。まさに光速と呼ぶにふさわしい境地で、圧縮完了です。わずか数秒で1局が並ぶようになるので快感です。