Ⅲ 盤外こそわが戦場A(8)

Pピリ将FINAL

 

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「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

Ⅲ 盤外こそわが戦場A(8)

 弱点は、どこにあるのか?

 弱点は、長所の近くに眠っていることが多いです。

 まず、あなたの弱点を補強しましょう。あなたの得意な点、長所の近くの”隙”を徹底的に潰しましょう。

 「灯台もと暗し。」昔の人は、うまいこと、言ったものですね。得意である周辺も得意だと錯覚しがちなのですが、そういうところに、最もたちの悪い弱点が眠っているものなのです。それを「おごり」といって、もっとも厄介な弱点となるのです。

 たとえば、あなたがホームランバッターだとして、内角高めの直球が得意だとしましょう。すると、内角低めや外角高め、内角高めの変化球を鍛えておく必要があるわけです。また、内角高めのボール球の見極めも要求されるでしょう。

 その反対に、相手の弱点を見つけることも大事。相手が石田流を得意にしているのなら、どう避けるか。まったく別の戦法に誘うのではなく、あえて3筋なり7筋の位を取らせて、そこからが勝負。横歩取りが得意な相手なら、横歩取りには付き合うのだけれども、どこで相手の得意をズラしに行くか。

 このように、得意の近くの弱点というものに着目し、自身のそれを克服し、相手のそれを衝く。これが勝負の王道です。もちろん、将棋に限った話ではありません。

 苦手や弱点を克服する場合には、その反対に得意なゾーンの近くに寄せていくことが1つの策となりましょう。

 本当に強い人、優秀な人は、得意のゾーンが広い人。そして、その周辺に隙のない人と言えそうです。

 そういえば先日、通勤路の橋が工事中で通行止めでした。手前に標識していてくれればよいものを、直前に「通行止め」の看板があるだけだから、すべての自動車が引き返し、大変なことになっていました。もちろん、私も例外ではなく、引き返すことになったわけですが、別の迂回路を脳内で検索し、パニックになることも、遅刻することもなく、無事、職場にたどりつくことができました。

 日ごろから、こういうときに備えて、さまざまなルートを調べ、試しておいた甲斐がありました。

 勝ちパターンからちょっと変化されたぐらいでは動じない。そんな棋士、そんな人間でありたいものです。