Ⅱ 二者択一は選ぶなB 持ち時間(7)

Pピリ将

 

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「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

Ⅱ 二者択一は選ぶなB 持ち時間(7)

 ところで、早指しには2種類があります。

 1つは持ち時間の範囲を最大限に活用する早指し、もう1つは文字通りのノータイムの即指し。

 たとえば、NHK杯戦なら、持ち時間と考慮時間を使い切り、30秒の29秒まで使うのが前者の究極形だとすると、考慮時間に入ったばかりなのにパチッと指したり、30秒あるのに、2、3秒で指したりするのが後者ということになるでしょう。

 私の早指しは、基本的には常に前者。与えられた時間は使い切る。もともとの私はスペックが低く、おっちょこちょいだし、読み抜けやポカ、トン死も多いヘボ出身なので、できるかぎり用心して臨みたいのです。したがって、後者は、特殊な状況での時間責め以外では用いません。

 ところが、世の中にはいろいろな人がいて、後者のタイプの方ともよく出くわします。そのときの私の感想は「ラッキー!」といった感じでしょうか。

 だって、30秒のうち、こちらは20秒以上、30秒近くを使い、相手は2、3秒で指してくれるわけですから、こちらは10倍の持ち時間というハンデをもらった計算になるわけですよ。そういう対戦相手は地力があることが多く、また、こちらとしても「負けられない!」という意地はあるので、決して油断はしませんが、やはり「ラッキー!」というのが主軸の感想ですね。

 人間の認知にはやはり最低でも必要な時間というものがあり、さまざまなデータから、それが約3~6秒だと私は見ています。だから、10秒将棋なら、最低でも6秒は時間をかけるように心がけています。

 プロ棋士の認知を調べた際も、3~6秒というのが結論でした。アンガーマネジメントでも6秒という数字は知られています。怒りを感じたら、6つ数えよう、というふうに。

 他方、映像の世界では、画像の静止に3秒ルールというものがあって、それ以上、静止すると、お客さんの集中力がもたない。

 スマホの悪影響もあり、金魚の9秒よりも集中力が低くなったと言われる人類ですが、私の実験だと13秒待たせるのが、どんな性格の相手でも、最もイライラする時間のよう。

 というわけで、実際、1手に6秒かけると、相手は指しにくそう。リズムが悪くなるのでしょう。他方、こちらはその6秒のリズムを繰り返していき、自分のリズムにしていきます。

 ちなみに、30秒だったら、26秒で指すようにしていますね。普段の6秒の感覚に考慮時間が加わった感じです。

 6秒で指す根拠は、万が一、難しい局面や勘違いがあったような場合でも、さらに3秒の余裕があるからでもあります。

 この6秒指しは、いつもいろいろなところで練習していて、たとえばネット対局の前には必ずソフトでの対局で猛練習を積みますし、棋譜並べの際はメトロノームを使って、6秒指ししています。

 6秒指しには、欠点がありません。ソフト指しを疑われたことはありますが、そういう習慣だ、このブログを見てくれ、としか言いようがないですね。(苦笑)