Ⅰ はじめに感動ありきB 棋譜並べ(10)
Pピリ将FINAL
「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)
Ⅰ はじめに感動ありきB 棋譜並べ(10)
高速棋譜並べというと、眉をひそめる人も多いようです。
しかし、実際のところは「ゆっくり並べ」なんかとも併用しているので、そんなに身構える必要はありません。
たとえば、将棋ウォーズには、「3分切れ負け」・「1手10秒以内」・「10分切れ負け」という3種類の持ち時間が設定されています。3切ればかりを指す人もいるかもしれませんが、私のおすすめは、全種類をバランスよく指すことです。
もちろん、ある時期は3切ればかり指す、というような指し方は是です。しかし、いつまで経っても、1種類の持ち時間しか指さないというのは、非だと思うのです。
そもそも、将棋ウォーズの持ち時間は極端で、本音をいうと、この3種類だけでは不十分で、その他の持ち時間も経験してほしいと思います。楽しむだけなら結構ですが、強くなりたいのなら、もっと時間をかけて将棋を指すこと「も」大事だと考えるからです。
棋譜並べについても、同じことが言えそう。高速棋譜並べ「だけ」で強くなれるかというと、はなはだ疑問です。
はじめに感動ありき。感動にも2種類あって、衝動のようなものの場合、見た瞬間に何度も繰り返し、猛烈な勢いで並べたくなるときもあるでしょうが、その後、落ち着いて見た時にじわじわと込みあげてくるような、それこそ都こんぶのごとく噛めばかむほど味わいが滲み出てくるタイプの感動の場合には、やはりゆっくり、じっくり並べるほうがよいと思うわけです。
私の棋譜並べは、時間を自在にコントロールします。超早指しにも強いし、超遅指しにも強い。そんなふうに時間に左右されない強さを目指しているので、高速「だけ」を推奨するわけでは決してないということは、強調しておきたいところです。
2分以内で並べて、3分切れ負け対策をするときもあれば、1時間かけて並べて長考の練習をすることもある。1手10~30秒の定速で並べて、秒読み対策をすることも多くて、実際は多種多様です。
はじめに感動ありき。あくまでも「感動」が最優先、また脳内将棋盤づくりも重視しているので、そこを間違えて表面的に捉えてもらっては困りますね。