Ⅱ 二者択一は選ぶなB 持ち時間(8)
Pピリ将
「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)
Ⅱ 二者択一は選ぶなB 持ち時間(8)
リズムができたら、リズムを壊す。
素人卓球の話で恐縮ですが、私、素人同士の卓球だと結構、強いのですよ。どうしてかというと、相手のリズムを崩すのが得意だから。
ぴん、ぽん、ぴん、ぽん、ぴ、あっ
ぴん、ぽん、ぴん、ぽん、ぴ、ぽ、ぴ、ぽ、ぴーん、ぽん、ぴ、あっ
こんな感じで、「ぴん」と「ぴ」の混ぜ方に自信があります。
10秒将棋も、6秒ぐらいで指していると、一定のリズムが生じる。
そうすると、面白いことに、相手の方もこのリズムに乗ってくるのです。
これは本当に面白いことで、相手はこちらの持ち時間で考慮し、自分の持ち時間は使わず即指ししてくるのですが、これが相手の油断を生みます。
メンタルからいくと、頭の切れる人、回転の速い人の中には、ゆっくり考えている人を見下す心理があるようで、なぜか自分のほうが強いという錯覚を始めてくれます。だから、油断につながる。
この心理を利用して、少しだけぬるい手を指してみて、相手の様子を探ると、間違いなくこちらを見下していることがわかる。そうなると、しめたもの。中終盤でギアを加速させて、勝つことができます。
時間的には、こちらがペースをコントロールできるようになるので、一定のペース(「ぴん」)で指しつつも、時折、即指し(「ぴ」)を入れるなどして、相手のペースを乱しにかかります。
10秒将棋は、こうした心理と時間管理の両方を会得するのに、最適なフィールドだと思います。
他方、3分切れ負けは、10分切れ負けの練習になります。最初の7分はゆっくり指し、最後の3分でターボをかける。つまり、全体の時間配分の練習になると言えそうです。
切れたら秒読みがある場合は、全体の配分ということをあまり考えません。しかし、10分切れ負けの場合は、最後の3分が非常に重要で、なぜなら秒読みよりも時間がない上、間違いの許されない終盤戦になるからです。
ところが、3分切れ負けで訓練していると、残り3分になっても、まだ心に余裕があるのが大きい。序盤から3分で指せるのだから、終盤から3分なら足りる、というような。
実際には、そんなことはなくて、終盤の3分では、やはり足らないことも多いのですけれども、それでも少しでも足しになるのなら意味があると私は考えています。
私は、どの持ち時間にせよ、緩急の使い分けをとっても意識しています。均質な時間は、このような緩急をつけるためにあるというわけです。
「この詰将棋を1分で解いてください。」と言うと、相手の方は焦ると思います。相手に次の一手を出題するマシーンになったつもりで指すとよくて、その際に時間制限もセットで与えるといったイメージでしょうか。