Ⅳ 形勢判断を見直そう(10)
Pピリ将FINAL
「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)
Ⅳ 形勢判断を見直そう(10)
今回は、形勢判断には絶対的なそれと、個人的な好みに基づいたそれがあるという風変りな仮説を提出してみましょう。
私のインスタント形勢判断法は、後者に基づいているからです。そもそも強い人どうしで戦った場合、それほど大きな駒の損得はないのが普通。だから、そこは見ない。手番と駒の効率だけを見る。
ただし、手番は絶対なので、最後に回す。局面が互角なら、手番をにぎっているほうがよいという判断を下せばいい。
というわけで、実際は駒の効率だけを見るのですが、強い人どうしでそれほど差があるとは思えないので、2つのポイントだけを確認すれば、形勢判断は終わりです。
1つは持ち駒です。持ち駒には差がつきやすい。どうしてかというと、そういうことを考えることを教わらないから。持ち駒の有無、持ち駒の多寡、持ち駒の組み合わせは、勝負に直結します。
以前にも触れましたが、持ち駒が山ほどあっても、最終盤で使う機会がなければ、宝の持ち腐れ。相手の攻めを切らすことができなければ負け。最終盤では、持ち駒が少ないほうが勝勢と考えてよいでしょう。
だから、そうならないように、持ち駒の出し入れに気を配るわけです。もちろん、歩切れかどうかもちゃんと見ましょう。
もう1つのポイントは盤上ですが、これは企業秘密。
いうまでもないことですが、王手がかかるか、詰めろかどうかは必ず確認します。これについては、「詰みそうかどうか」を瞬時に察知できるセンサーがあるとよいですよね。相手の玉を裸だと仮定して読みを進めてみると、案外、楽に察知することができます。相手玉まわりの金銀を撤去したとして(「全バラ」、すなわち「全部ばらす」と言います)、詰むかどうかをまず考えるのです。具体的な手順は後回しです。 「ひと目、詰み」という言い方を高段者はよく使いますが、実はそういうからくりです。
詰みがなくとも、王手飛車に代表される攻防手がある可能性もあるので、王手できるかどうかも大事です。時間責めをする際も、ゼットかどうか。盲点になる王手がないかどうかをチェックしましょう。