Ⅳ 形勢判断を見直そう(11)

Pピリ将FINAL

 

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「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

Ⅳ 形勢判断を見直そう(11)

 もしよろしければ、以下のイメージを共有してみてください。

 「単に勝てばよいというものではありません。大差で勝つのですよ」と。

 少なくとも、「大差で勝とう」という気概、心意気がなければ強くなれないからです。

 たとえば、今、あなたの目の前に、同格の相手がいたとしましょう。普通であれば、接戦となり、僅差で勝てるかどうか、という勝負になるはず。

 ところが、あなたの代わりに格上の方が座って代指しすれば、当然、大差で勝つことになりますね。

 ここが、ポイント。あなたが目指すのは、目の前にいる同格の相手に勝つことではなく、あなたの代わりに指す格上の棋士。あなたが勝てない相手に、楽に勝ててしまう格上の棋士を目指すのです。

 そういうことを繰り返していくと、いつのまにか、あなたも格上の棋士に到達しているはずです。そして、今度はその格上の棋士に大差で勝つ。

 私はこんなふうに考えています。もし、藤井聡太先生だったら、目の前の強敵も、いとも簡単に転がしてしまうんだろうな、と。

 世の中には本当に強い人がいます。そのような地点から眺めたら、目の前の相手に大差で勝つということが不可能ではないということに気がつきます。

 最初から諦めていては、大差で勝つことはできません。ただ勝てばよいというメンタルでも同様です。もっともっと強くなるんだ、超弩級に強くなるんだという思いを確かなものにすることが何よりも大切です。

 上記のようなプロセスをたどれば、必然的にアマチュアの将棋もよく観戦し、偵察することになるでしょう。私の場合、将棋倶楽部24で、対戦相手のことを徹底的に事前リサーチしています。観戦したり、棋譜を調べておいたりして勝負を挑みます。そこまで準備する人はいないので、楽勝できます。

 ただし、繰り返しになりますが、相手のことを調べるというよりは、その相手に大差で勝ったより格上の棋士の戦術や大局観を吸収することに重きを置いています。

 負けた場合も、その相手のことをストーキングします。ただし、三度目の繰り返しですが、相手のことを研究するのではなく、その相手を完膚なきまでにやっつける棋士を探し、その棋士を呑み込むわけです。

 そういえば、里見女流の師匠で、終盤の魔術師という異名を持つ森先生は、負けたら対戦相手の戦法を指すということを繰り返し強くなったと回顧していらっしゃいました。私の場合は、もう少し込み入っていて、対戦相手に勝つ棋士の戦法を吸収する戦略で、いわば階段を二段飛ばしに昇るようなイメージで上達してきました。

 要するに、強い人と自分自身の差というものを抽象的にではなく、より具体的に意識する、ということです。