Ⅳ 形勢判断を見直そう(7)

Pピリ将FINAL

 

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「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

Ⅳ 形勢判断を見直そう(7)

 大駒をボロッと取られているようでは、ヘボ将棋。

 まずは、そのようなポカを撲滅することから始めましょう。具体的にはソフトと対戦して、大駒を取られたら投了というルールを自らに課す、角交換の将棋にはまるなど、心がけとトレーニング次第で、そのようなポカを減らす工夫はできます。

 問題はその先で、大駒や金銀で差がつかなくなったら、歩で差をつけましょう。ここからが途方もなく、長いトンネル。歩を極めるまでには、おそらく一生かかります。

 ただし、最終ゴールは歩ではありません。そこにかかりきりになると一生かかるわけですから、どこかで見切りをつけて、桂香の問題に移りましょう。

 大駒全部と金銀全部を入れ替えたら。という架空の想定を以前にしましたが、そのとき、桂香歩がどうなっているかがわからないと、本当は結論を出せないわけですよね。

 それと同じで、結局、中央値をとるという習慣を持つために、極端な大駒や歩だけでなく、銀桂香といったところに、もっと意識を分配してあげる必要があります。

 なかでも桂馬は変わった駒なので、扱いが難しい。中原誠十六世名人は、桂使いの名手でした。それは大山康晴十五世名人に勝つために意識して磨いたとのことですが、意識して桂馬づかいを身につけることが大切なのは、私たちアマチュアとて同じだと思うのです。

 「三桂あって詰まぬ玉なし」という格言は大袈裟だと言われていますが、この格言のポイントは枚数に着目している点だと私は見ています。

 すなわち、桂馬を3枚持つということは、相手は桂馬が1枚ということで、3対1なのです。この差は測り難いと思うでしょうが、実はとてつもなく大きな差です。まして、桂馬4枚を独占して、相手を桂切れに追い込めば、大差も大差。

 点数にすると、桂馬は6点ですから、1枚得しても大したことがないように思うかもしれませんが、そうではありません。桂馬にしかできない仕事があるため、単純ではないのです。渡辺明名人が、桂馬の点数だけ変動制にしていることも、この文脈でうなずけます。

 ともあれ、桂馬や香車の手筋は、たくさん身につけたほうがよいですよ。歩の使い方で差がつかなければ、桂香の使い方で差がつくのは当然です。

 まとめると、大駒金銀部門、歩部門、その他部門の3つの領域があり、それぞれを簡潔に押さえる、あなたなりの大局観を築きあげることができれば安泰というわけです。