Ⅲ 盤外こそわが戦場B 実戦以外(4)
Pピリ将FINAL
「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)
Ⅲ 盤外こそわが戦場B 非実戦(4)
言わずと知れた将棋の3大勉強法。
ただし、今は実戦を凍結しようとしている。残された道は、詰将棋と棋譜並べ。
ところが、盤駒使用もできないとなると、棋譜並べはハードルが高い。
というわけで、盤駒不使用期間においては、詰将棋が最適な勉強法ということになります。
ここで大事なことは、実力に合った詰将棋を選びましょう、ということ。
今、私たちが取り組もうとしている詰将棋は、通常の詰将棋よりも負荷の大きいものです。まず、パッと見る。覚える。で、脳内で解く。
覚えて、脳内で解く詰将棋の場合、普段よりも易しい詰将棋が必要になります。3手しか解けない人は1手詰め、5手しか解けない人は3手詰めを選びましょう。
同時に、広い盤面を使ったものは難しいから、最初は3×3や4×4ぐらいのものにしたほうが無難かも。
同じ理由で、芸術的なものよりは、実戦的なもののほうがおすすめ。
脳内将棋盤づくりにおいて、最重要なことは、持ち駒の出し入れをクリアにすること。その点も詰将棋は訓練として好適。歩の数などは、さすがに棋譜並べに譲らざるをえませんが、常に持ち駒、駒台をクリアに意識することを心がけてみてください。
詰将棋は繰り返し解きましょう。反復することで脳内将棋盤の精度は向上します。油彩の重ね塗りのイメージ。
同じ詰将棋を繰り返して、飽きが来たなと思ったら、先後を反転してみましょう。今度は、自玉の詰みを読む練習に早変わり。
自玉の安全度を読み切るという能力は、敵玉を詰ますことと同じぐらい重要。ここで妥協してはいけません。徹底的に鍛えてしまいましょう。
脳内将棋盤だけでなく、終盤力にも貢献するので、この勉強法はマストです。
実戦指している暇があるなら、脳内で詰将棋を繰り返し、解きましょう。
問題数をたくさん解くことも、実戦をたくさん指すか否かという問いと同じで、有効な場合もあれば、そうでない場合もあります。そうでないことも多いので、量より質を重視する戦略も、自身の状況に照らして、よく考えてみることをおすすめします。
私の場合は、たくさん解くより、1問で遊び倒すことを優先していますよ。
たとえば、ただ解くだけでなく、あえて詰まない順を並べてみるというようなことをよくやっています。解説よりも広く、深く読む。これも意味はあって、脳内将棋盤を鍛えるということに加え、あらゆる変化をしらみつぶしに読む訓練になるのです。
オセロ(リバーシ)の終盤もそうですが、将棋では最後の最後は、すべての変化をしらみつぶしに読み切ることが原則、義務。読み抜けがあると、すべてが烏有に帰すから。
というわけで、ただ解く人と、遊び心を持って解く人との間では、大きな差がつくと考えます。既存の詰将棋を脳内でアレンジするのも好きですが、目的は詰将棋作家になることでなく、あくまでも実戦で強くなることを目指していて、私の場合、幸い、創作の誘惑に負けてこの目標がぶれるというようなことはありません。