Ⅲ 盤外こそわが戦場B 実戦以外(3)

Pピリ将FINAL

 

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「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

Ⅲ 盤外こそわが戦場B 非実戦(3)

 大人になって将棋を始めたという人や、長いブランクがあるという人は、実戦不足の可能性があります。そういう人は、オシム監督が「走れ」というように、「指せ」と言いたい。

 けれども、子どものころから指しまくっている人には、基本的に実戦不足ということはないと考えています。むしろ惰性で指している中毒、病気の気味すらあるのではないか。

 こういう人は、実戦を抑えて、別の方法を模索することをおすすめします。

 まず、実戦中毒の改善方法ですが、それは一言でいうと、離れることに尽きます。将棋盤とモニターから。将棋中毒の人は、ネット中毒でもあります。モニターを遠ざけましょう。

 あなたの目の前に、小学生か中学生の子どもがいると仮定しましょう。認知しようが、すまいが、あなたの子です。この子がパソコンやスマホばかりして、勉強しないとしましょう。どういう感情が起きますか?

 あるいは、あなたの目の前に、恋人でも部下でもよいので、いるとして、その人が絶えずスマホばかりいじっていて、あなたの話を聞いていないというシチュエーションでも構いません。

 これらの状況設定がフィットしないなら、あなたが自由に設定していただいても差し支えありませんが、ネット依存している人を客観的に、つまりは醒めた目で見ることが大事です。

 どうしてかというと、あなたの対戦相手は皆、そういう人ばかりだから。そして、あなた自身もそういう人だから。違いますか?

 こういうことになってくると、モニターから離れた人が勝ちです。将棋が強くなるためには、ネット将棋が不可欠だ。そのような思い込みはしばらくの間、捨ててください。また、動画を見ないと死んじゃう。そのような固定観念も凍結しましょう。別に死にはしません。

 ネット断ちをするには、前回お話したように、指しまくって、負けまくって、将棋を引退するという方法もないわけではありません。事実、私自身は、このルートでした。廃人にまで追い込まれて、ようやく足を洗う。しかし、これはおすすめできません。自戒を込めて書きますが、ここまでやらないと、やめられないというのでは頭が悪すぎます。

 ただし、禁止だけでは、ネット断ちをすることはできないでしょう。そこで、もう1つ、積極的に別の趣味を見つけることをおすすめします。ネットを使わないで済む趣味を探してみましょう。スポーツでも楽器でも庭いじりでも何でもよいので、将棋とは直接、関係のないものを見つけましょう。

 「急がば回れ」と言います。まずはこちらのほうから上達させていきます。そのことにより、上達のプロセスが具体的にわかり、成功体験とすることができます。その成功体験を将棋に応用するのです。迂遠な方法かもしれませんが、伸び悩んでいる人には、こちらのほうが早いです。

 将棋盤は離さなくてもよいのではないか?

 このように思った方は鋭い。たしかに、将棋盤自体はネット依存とは無関係ですね。しかし、本当に将棋が強くなりたかったら、将棋盤は離すべきです。なぜなら、将棋盤は脳内につくりあげる必要があるから。モニターや将棋盤を使っているうちは、まだひよっこ。脳内将棋盤で楽しめるようにすることが、最強レベルになるために不可避です。

 モニターからも将棋盤からも離れられる趣味を見つけよというのは、実は後に脳内将棋盤で楽しむためでもあるのです。

 現に、私は「ながら勉強」が大好きで、日々実戦ではなく実践しています。運動の合間に脳内詰将棋、音楽を聴きながら、庭をいじりながら、温泉につかりながらの脳内棋譜並べ、という具合に。

 この際ですから、棋書や棋譜も、盤駒を使わずに読む習慣を身につけましょう。

 この方法には限界もあるのですが、ある一時期、このような時期を持っておくことは後の上達にも役に立つので、このことが不十分な方には、おすすめの上達法です。