Ⅲ 盤外こそわが戦場B 実戦以外(8)

Pピリ将FINAL

 

f:id:Shouldgo:20180205143357p:plainf:id:Shouldgo:20180205143357p:plainf:id:Shouldgo:20180205143357p:plain

 

「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

Ⅲ 盤外こそわが戦場B 非実戦(8)

 そろそろ、議論を「実戦」に極限まで近づけてみましょう。

 実戦以外で修行を積んで、「さあ、いざ、実戦!」となったとします。そこで、盤上の攻防へ行く前にやるべきことは何か、というテーマです。

 私の考えでは、まず心身のコンディションを整え、次に練習をして技術的な調整をした上で、実戦ということになるかと思います。

 心身のコンディションとは、私の場合だと、朝が異常に弱いので、目覚めに充てます。日光を浴びたり、身体を動かしたり、栄養を摂ったり、というような基本になります。朝に目覚めた後、すぐにあれこれするのはよくないと知ったので、耳栓をして、基本的には静かに過ごす時間を入れています。

 ちなみに、これは将棋の本番以外でも同じこと。もはや将棋と日常に特別な差はありません。もっとも、将棋の対局は、人生最高のご馳走と位置づけていますから、どうしても気合いは入りますけれどもね。(笑い)

 技術的な調整については、少し目覚まし時間を設けた後に、詰将棋を解いたり、棋譜を並べたり、ソフトと練習対局したりとして肩慣らしする感じでしょうか。いわゆるウォーミングアップ、ですな。

 そういえば、盤外戦術として、詰めパラを持ってくる人と出くわしたことが一度だけあります。詰めパラって、知っていますか? 難しい詰将棋満載の詰将棋専門誌。プロとかマニアとかが読んでいるやつ。悪いけれど、私、笑ってしまいました。そんなものは対局場に持ってきてマウントするものじゃないよ、と。

 詰将棋だけ強い人には、勝つ方法があります。詰将棋以外の要素で勝つのです。もちろん、詰将棋対決になった場合に備えて、詰将棋の腕も上げておかなくてはいけないのですけれども、これは純粋に才能勝負になってしまうので、寝技に持ち込みます。喩えていえば、AIや終盤が最強の藤井聡太先生と対戦するような感じ。そういう人に勝つ技術というものを持っていないと、アマチュアのトーナメントを勝ち上がるのは、かなり大変なのです。まあ、これ以上は、企業秘密になりますが。

 いずれにせよ、ここで1つ、重要な問いかけが割り込まれます。それは、対局するにあたり、心身、そして技術的な準備が完璧であるかどうか、というものです。というのは、最近の私の場合、対局できる準備が万全でなければ、対局を回避するようにしているからです。なるべく対局したくない。これが本音です。

 これは大切なので少しだけ弁明しておくと、決してビビっているわけではなく、自分自身の納得感の問題。極端にいうと、究極の状態を目指しているので、少しでも納得のいかないところがあれば、対局よりも研究や調整を優先するという職人気質です。

 対局後に関しては、しっかり感想戦を行います。相手がいようがいまいが、感想戦は大切にしています。ソフトにかけたり、棋譜並べをしたりします。必ず棋譜は残しています。

 私の強いこだわりは、連敗したら、もう指さないという独自ルール。これは仮に大会で「3回負けても指せるよ」というルールがあったとしても、墨守。おうちに帰ります。まあ、幸い、実際にそのようになったことは一度もありません。だいたい2敗は失格ですしね。残って練習対局する人もいるでしょうが、私は帰って、敗局の分析にとりかかります。2局もあれば、労力が要りますから。

 ネット対局でも連敗したら、その日は指しません。悔しいということもあるし、反省や分析もあるので、勉強します。この独自ルールを自ら課すようにして強くなったという実感があるので、もう一生、墨守ですね。

 実戦を抑えるという思想も、このような体験から来ています。言い換えると、連敗するということは、何かが弱いということで、補強が必要ということです。気合いなどの精神的な面だけでは乗り越えられません。