Ⅳ 形勢判断を見直そう(8)
Pピリ将FINAL
「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)
Ⅳ 形勢判断を見直そう(8)
遊び駒をなくす。
これは言われるまでもなく、皆さん、実行していると言うでしょう。
もちろん、これができているのであれば、それ以上はアドバイスすることはありません。しかし、案外、これができていないという人が多いのも事実です。
どうして、これができないか。理由は、明快。遊び駒を活用する以上にやりたい手があるから。
問題は、その手が本当に最善手であるのかどうか。そして、あなたの大局観が正しいかどうかです。
その手が局所的に見て最善手であるならば、それはそれでよしとしましょう。しかし、それが最善手でないのなら、あなたの感覚に問題があるので、感覚からやり直す必要があります。
また、最善手であるか否かにかかわらず、全体的に見て、それでよいのかと問うてみる必要もあるかもしれません。というのは、部分的には正解であっても、全体的には正解と言えないということがしばしば起こり得るから。というより、これこそが今、私たちが話題にしている大局観そのものの問題なのです。
一般論として続ければ、こちらに遊び駒があっても、相手側にも遊び駒があれば、イーブン。しかし、相手側に遊び駒がなく、こちら側だけ遊び駒があるようなら、その代償をどこに求めるかという問題が浮上します。相手玉が詰むのであれば構いませんが、多くの場合、そんなことはないのであって、今すぐでなくてもよいので、最終的には遊び駒を解消していく見通しを立てておかないといけないのではないでしょうか。
級位者には、とにかく遊び駒をなくせ、と言いたい。
もちろん、相手が早々に仕掛けてきていれば、悠長に全軍躍動を目指しているとボロ負けするのは当たり前のことだから、そういう場合は相手に合わせて指すということが大事になります。相手よりも一手得する、相手よりも一路深く囲うというようなことを心がけつつも、遊び駒が出ないように指していくことがコツです。
有段者は、遊び駒が最終的に自然に片づいているような将棋を目指すことをおすすめします。ここで強調したいのは、自然です。最初は不自然な形で、たとえば奇襲めいた作戦や超急戦も視野に、一攫千金を狙う。ところが、相手が強敵とわかれば、即座に切り替え、自然と遊び駒を解消していって、相手がその動きについてこなければやっつける。相手も追随してきたら息長く指し、強い者が勝つ。ザッと説明すると、そんなイメージでしょうか。