Ⅳ 形勢判断を見直そう(5)

Pピリ将FINAL

 

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「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

Ⅳ 形勢判断を見直そう(5)

 突然ですが、駒の損得に関係する練習問題です。

「金銀8枚と大駒4枚の交換、どちらがどのくらい優勢か?」

 

 駒の損得ということでいえば、金が9点、銀が8点と定めると、

 (9×4)+(8×4)=36+32=68点

となります。他方、飛15点、角13点であるならば、

 (15×2)+(13×2)=30+26=56点

ということになり、

 68>56

であるから、金銀8枚のほうが12点分、優勢であるということになります。

 

 それでは、12点差だから優勢ということなので、金銀7枚と大駒4枚ならば、どういう結果になるのだろうか?

 計算式は省くが、金銀が59~60点で、大駒4枚が56点で、差はなくなります。

 

 ここで、問う。「本当か?」と。

 

 金銀7枚と大駒全部なら、もちろん状況にもよるが、状況は自ら作り出せる部分もあるので、私は基本的に金銀7枚を選択するでしょう。

 どうしてか? その根拠は?

 点数ではなく、枚数の差がデカいからです。

 どんな駒かと性質を考える前に、駒の枚数で単純に計算したいと思います。もちろん、持ち駒は1手ずつ投入していかなければならないので、駒台の上に7枚と4枚ということになれば、手番も大事だし、4枚のほうがよい場合も多いでしょう。

 しかし、実戦ではそのような極端なことはあまりなく、盤上にも駒があるはずなので、枚数が多いほうが有利です。

 しかも、相手は大駒しかないので、いずれ金銀と両替になりそうというところも見越すわけですね。

 

 具体的な状況を捨象した机上の空論なので、大雑把ですが、こういう机上の空論は常日ごろから習慣化しておくと、いざというとき、判断が鋭く、決断よく指せます。単純に枚数を見るということは、割と初歩的ながら、ある種の人々にはコロンブスの卵的なインスピレーションになるのではないでしょうか?

 気をつけてほしいポイントは、駒台の上の枚数なのか、盤上の枚数かというところ。駒台に塩漬けになっている持ち駒をどうカウントするかは、また別の、しかし重要なもう1つのテーマだと私は考えています。相手の攻めを切らせようというときは、駒台に山盛りの持ち駒を置きますし、反対に攻める場合や玉をガチガチに固める場合は、盤上に次々と投入していきます。

 ともあれ、田んぼの用水路の水位をコントロールするように、駒の数を管理するという発想は、案外、忘れられているのではないかと思います。