Ⅰ はじめに感動ありきB 棋譜並べ(6)

Pピリ将FINAL

 

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「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

Ⅰ はじめに感動ありきB 棋譜並べ(6)

 有段者へのアドバイスを続けます。

 神速の領域に達するためには、初手から並べるということにとらわれてばかりではいけません。「途中から並べ」を会得してください。

 私はかつて、潔癖な性格の持ち主でした。音楽の練習は、必ず冒頭から練習を始めます。母親からは途中から練習するように言われていましたが、そこは頑固で譲ることがありませんでした。

 本なども最初から読むのが当たり前で、途中から読むなどということは反則だと思っていました。参考書なども頭から読み始めるものですから、最後までたどりつかないということもありました。

 しかし、今では、これがいかに愚かな方法であるかを知っていますから、むしろ融通無碍、とらわれず自由自在です。

 将棋だったら、「途中から並べる」でももちろんOKだし、「途中だけ並べる」でも全然OK牧場です。実際、大半の棋譜は、そのように部分的に食い散らかしています。

 よくある誤解ですが、神速棋譜並べは、従来の高速棋譜並べのように多くの棋譜を並べることを目的としていません。量より質。一局をしつこく繰り返すことにより、養分をすべて吸収し、うまみを最大点に味わい尽くすことを目指しているのです。

 ですから、必然的にその欠点として、多くの棋譜をこなすということができないという側面が出てしまいます。この対策は簡単で、皆さん同様、「一回だけ並べ」や「序盤だけ並べ」、「ポイントだけ並べ」「ネット観戦」など、ごく普通の方法を採っています。

 つまり、スーパーサイヤ人としての戦いである神速棋譜並べと、凡人としての日常であるただの棋譜並べを、メリハリをつけてしっかり区別しているということです。

 ただし、ここでいう「途中から並べ」は、「途中だけ並べ」とは全く別物です。後者はただの棋譜並べですが、前者はあくまでも神速棋譜並べの一環として行うものだからです。

 ここでいう「途中から並べ」は、言い換えると「どこからでも並べ」です。つまり、何手目からでも並べられるというのが「途中から並べ」です。

 プロ棋士感想戦をやるとき、阿吽の呼吸で、造作なく当該局面に戻すことができていますよね。あれと同じことをやるのです。

 これは案外、難しい技能で、持ち駒まで正確にということだと、アマチュア四段以上はないと、できないのではないでしょうか。

 この練習として私が編み出した方法が「スキップ並べ」です。図1から、いきなり図2へと飛ぶ。図2から図3へと飛ぶ。一手ずつ並べるのではなく、数手を飛ばして次の局面へとジャンプするから「スキップ並べ」です。

 これは局面を飛ばせない方からすると、革命的な方法と言えます。アマの初段、二段ぐらいの方で伸び悩みを感じている方は、ぜひとも導入してみてください。効果てきめんですよ。

 「途中から並べ」というと、角換わりや振り飛車などで、定跡化された棋譜の場合は、そもそも初手から並べる必要はなく、「途中から並べ」が有効だというふうに理解された方もあるかもしれません。もちろん、それも肯定しますが、ここでいう「途中から並べ」ではありません。

 DVDなどで30秒先送りしたり10秒前に戻ったりする機能がありますが、あんな感じの棋譜並べ版です。これが最終的に光速での棋譜並べにつながっていきます。