Ⅱ 二者択一は選ぶなA(5)

Pピリ将FINAL

 

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「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

Ⅱ 二者択一は選ぶなA(5)

 前々回は「軸」ということを言いました。そして、前回は「広さ」と「深さ」ということを言いました。

 「広さ」とは要するに、「地図」のようなもの。「地図」が正確であればあるほど、どこを「深く」掘ればよいかが分かるわけですね。情報量が少ないと、地図の精度も低くなる。

 もっとも、情報量が多すぎて精度が高すぎても、一覧するには不便なので、初心(最初)のうちは程々にしておいたほうがよいかもしれませんね。

 つまり、私たちの問いは、「どの程度の地図を手にして、どのくらいの手前でハイキングを楽しむか? もしくは、ジャングルの奥地へ探検に出かけるか?」というあたりに定まりそうです。

 級位者の場合は、ざっくりとした地図を手に、公園などを散歩する程度がよいでしょうね。有段者の場合は、これに加えて、難関コース、場合によっては自らの手で開拓、開墾するということがあってもよいでしょう。

 ここらへんで、「程度」というお話を入れていきます。「二者択一」を「選ばない」としたとき、両方とも採る「両立の戦略」、あるいは、二者ではなく選択肢を三者に増やして「鼎立の戦略」を採るのが基本戦略になります。その場合、比重をどうするかという「程度」の問題が浮上してくるわけですね。つまり、「Aを何割にして、Bを何割にするか」という問題です。

 ここでようやく「軸」の問題が出てきますよ。仮にAを軸にして、BとCを補助にするとしたとき、Aを何割、Bを何割にするか。エフォート、すなわち、エネルギー・時間・費用をどう配分するかを考えていきましょう。

 具体例に即していない理論の段階では、細かいことや例外に目配りすることはできないので、そこは各自にお任せしますが、私の理論では、次のような目安になります。

 

 ABCに共通する土台(基礎):3割 

 A:4割

 B:2割

 C:1割

 

 これを見て、1つの「気づき」があろうかと思います。そう、「共通」というカテゴリーがあるという点に注目してください。やるべきことを3つに定めたとき、まずこの3者に共通する台座が何であるかを洞察することから始めましょう。

 たとえば、国語と数学と英語を学習するとしたとき、3者に共通するものは「勉強一般」「記号学」というような抽象化を行うことができるはずです。

 1つには、どんな教科を学習するにしても必須の習慣であったり、メソッドであったりを学ぶことが先決です。必ず机に向かう習慣、ノートの書き方、反復する回数、復習するタイミングなど、共通して導き出せるものを確認しておくことです。

 もう1つとして、日本語、数字、英語の別はあるにせよ、これらが記号であることに注目すれば、記号の操作という学びもあるように思います。たとえば、論文を書くことと数学の証明問題を解くことは、同じです。また、和英辞典を引いて、英単語と漢字を同時に学習することも可能です。

 将棋を例にしましょう。Aが序盤、Bが中盤、Cが終盤だとしましょう。共通する土台は何になるか。もう明らかですね。棋譜並べと実戦です。

 もし、序盤を鍛えたいのならば、序盤研究に4割、中盤に2割、終盤に1割と分配します。さらに、棋譜並べにも4割を与えます。

 これで重層的な体系、構造が出来上がりました。

 さらに多層化しておくと、棋譜並べも、さらに二分割しておいて、序盤7割、全体3割というふうに比率を定め、あえて偏りを持たせておくと、当初の目標の強靱なる序盤力が備わることはもちろん、それ以外の能力も広く薄くではありましょうが、それなりには身につくはずです。

 何かを選ぶということは、何かを捨てるということです。もちろん、そのような決断をしなければならないこともありますが、たいていの場合は、捨てることにはリスクが伴い、できれば捨てることをキャンセルできるようにはしておきたいものです。

 私の経験で言わせていただくと、一か八か、オール・オア・ナッシングのタイプは、どんな分野でも、必ず伸び悩みます。