Ⅱ 二者択一は選ぶなA(4)

Pピリ将FINAL

 

f:id:Shouldgo:20180205143357p:plainf:id:Shouldgo:20180205143357p:plainf:id:Shouldgo:20180205143357p:plain

 

「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

Ⅱ 二者択一は選ぶなA(4)

 1つに絞り込む、一点突破。

 たしかに、フォーカス&エナジーは、重要な戦略です。

 しかし、私はこの問題は、「選択」の問題ではなく、「軸」の問題だと捉えています。

 軸というのは、中心線といってもよいのですけれども、倒れないための支柱のこと。

 この軸が重要である理由は2つあります。1つは倒れないためという消極的な理由、もう1つが動くためという積極的な理由です。

 ただ立っていればよいというのであれば、軸は1本で大丈夫。しかし、歩いてみようということになれば、1本の軸ではうまくいきません。

 スポーツ選手や、二足歩行ロボットを設計してみたことのある技術者なら、すぐに同意してくれると思うのですが、中心線は1本ではなく、4本ぐらい必要です。

 実際、剣豪・宮本武蔵は中心線を4本と考えていました。

 かつてブログを書いていたときとの大きな違いは、やはり藤井聡太先生の出現でしょうが、大谷翔平選手の出現も驚きでした。それこそ、宮本武蔵と分野こそ違えども、二刀流の使い手です。

 宮本武蔵にせよ、大谷翔平にせよ、軸の問題は考えていると思うわけですが、二者択一という考え方は持っていないように見えます。

 何かに集中しつつも、つねにすでに別の動きに備えているのが軸というものの特徴です。静と動を兼ね備えてこそ、すぐれた軸なのです。

 したがって、「どんな勉強法がよいのか」「どんな戦法が勝ちやすいのか」といった問いに対する答えは、単純な単語や一文の形で提示されるものではありえません。単純な表現でも、軸ぐらいを立てることはできるかもしれませんが、その軸のしなやかさに言及しようとすると、いくら言語を尽くしても説明しきれるものではありません。

 たとえば、居飛車振り飛車という戦法は、戦法というより軸でしかないと私は思います。陽動振り飛車のように、揺らしてあげれば、それがよくわかります。戦法を選択だと勘違いしている人は、陽動振り飛車に振り回されます。しかし、戦法を軸の1つぐらいに思っている人は、相手が陽動振り飛車に来たところで、それほど動揺することがありません。なぜなら、相手の軸の動きや変化に、こちらも軸の動きや変化で応じているからです。

 堅くて強い筋肉よりも、柔らかくてしなやかな筋肉のほうが理想であるように、上達法や戦法も、後者を理想としたいものですね。