Ⅱ 二者択一は選ぶなA(6)

Pピリ将FINAL

 

f:id:Shouldgo:20180205143357p:plainf:id:Shouldgo:20180205143357p:plainf:id:Shouldgo:20180205143357p:plain

 

「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

Ⅱ 二者択一は選ぶなA(6)

 「才能か、努力か。」

 このような二者択一も、よく見たり聞いたりしますよね。

 答えはもちろん、決まっています。「才能も、努力も、両方とも必要!」

 「じゃあ、私は才能がないから諦めるね。」

 いやいやいや、ちょっと、待った。そうではありませんよ。

 「才能があるか、才能がないか。」

 この二者択一も、考えてみてほしい。そう、これも二者択一の罠なんです。

 「才能」は「あるか、ないか」の二択ではありません。「程度」と「組み合わせ」の問題です。

 つまり、どのくらい、豊かに備わっているかいないかという「程度」。あるいは、どの才能があって、どの才能がないかという「組み合わせ」の問題に過ぎません。

 「才能」が少なくても、ゼロでなければ、大丈夫! 「少ない才能」と「別の才能」を組み合わせ、あとは「感動」と「努力」で乗り切りましょう。

 「才能」は「センス」というふうに言い換えることができます。将棋の世界では、これを「筋が良い」という言い方で表現することが多いですが、私は「センス」という言葉にこだわりたいです。つまり、「感覚」。

 ところが、これまた困ったことに、「感覚だけ」タイプが多いのです。たとえば、「短い持ち時間だけ」で指していたら、いくら天才であったとしても、伸び悩むでしょう。「感覚」の反対は、「努力」ではなく、「立ち止まること」。

 仏教でも、「観」の反対は「止」と教えます。「止」とはなにか。文字通り、止まることです。止まるためには、当たり前ですが、速度を落とすことは絶対。

 早指しなら、遅指し、そして、指さないという選択肢も必要、ということですね。

 この「指さない」というところが、実は非常に重要なのだと、私は長年の試行錯誤の末、声をゆっくりにして強調したいところです。

 一口に「指さない」といっても、いろいろ、あります。

 第1は、休憩。ネット将棋を指しまくっていたら、どんなに強い人でもレート、落としますよ。言われても中毒になっている人には、アル中やシャブ中と同じで薬がないのですが、止められるうちに止めることを一応すすめておきますね。せめて深呼吸したり、お散歩したり、お茶を飲んだり、目薬差したりするぐらいのゆとりは、持ってくださいね。経験者は語る。

 第2は、実戦以外の勉強法。ヘボの実戦は指し過ぎてもあまり効果が上がりません。筋の悪い、センスの悪い手を互いにディープラーニングさせるだけ、と言えば、おわかりいただけるでしょうか。強くなって指すから意味があるのであって、弱いうちにたくさん指しても弱いまま。

 演技がうまくなりたいのであれば、先輩の演技をよく観察する。自分の演技を鏡に映していても、それはただのナルシスト。

 私の場合、実戦は全体のエフォートの1割にも満たない。ただ実戦の「感覚」がほしいだけで、それ以外を実戦には求めていないから。

 ところが、どのネット将棋でも、高段で勝率7割以上をキープ。1局を指すことの喜び、すなわち「感動」が他の方とは違うからでしょう。たまに、しかし、一生懸命に指す将棋は、最高です。 

 第3は、目をつぶることです。ネット将棋は目を酷使します。だから、目をつぶる習慣は不可欠。特に高齢の方は、視力を大切にしたほうがよいと思います。目を酷使すると、腰にも悪影響が出ます。腰が悪いと、将棋にも悪影響が出ます。良いことはありません。

 棋譜並べをモニターでやる人がいますが、感心しません。やはり昔ながらの盤駒使用が一番です。視覚だけでなく、パチッとという駒音、さらには指の触覚を用いるわけです。いや、脳内将棋盤に至っては、目は完全にお休みさせられるから、その意味では最高の方法かもしれませんね。

 「休むも相場」という言葉があります。強くなりたかったら、ダマされたと思って、実戦の数を制限してみましょう。

 指し過ぎには、気をつけましょう。