Ⅰ はじめに感動ありきB 棋譜並べ(1) 

Pピリ将FINAL

 

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「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

 

Ⅰ はじめに感動ありきB (1)棋譜並べ 

 これまでの議論が抽象的だったので、ここからは具体的な方法について記述していきます。

 最初に取り上げるのは、このブログの代名詞とも言える高速棋譜並べです。

 ただし、従来いわれてきた高速棋譜並べと、私が実践している高速棋譜並べは、まるで別物。そこで、混乱を避けるために、私が実践する高速棋譜並べのことをここでは便宜上、「神速棋譜並べ」と言い換えておくことにしましょう。

 この神速棋譜並べの極意は、要するに、感動と繰り返し。両者は必須。いわば両輪に当たる。感動でも、繰り返しでも、片方なしには成立しません。感動と繰り返しのない棋譜並べは、私に言わせれば、劣化コピー版であり、絶対に一緒にしてほしくないです。

 従来の高速棋譜並べは、一言でいうと、量重視(質軽視)でした。速く並べることにより、たくさんの棋譜が並べられるというわけです。

 しかしながら、「速く並べれば速く並べるだけ理解が浅くなり、たくさん並べられたとしても意味がないじゃん」というのが、私が実践してみての率直な感想でした。

 行き詰まっていたこともあり、埃をかぶっていた盤駒を取りだし、ゆっくり棋譜を並べるようになりました。解説を読み、自分でも読みを入れ、丁寧に並べるわけです。もっともオーソドックスな棋譜並べですね。

 ところが、そのように並べた棋譜が、まったく頭に残らない。もちろん、部分的、断片的には何か残っているのかもしれません。しかし、全体としての流れがまるで見えてこないのです。これでは、棋譜並べの意味がないと見切りました。定跡書や次の一手詰将棋などの勉強のほうがよいわけですから。

 そこで、根本的に考え直しました。棋譜並べが他の勉強法と違う点、他の上達法よりも卓越する部分は一体どこにあるのか、と。

 その結果、それは、「序盤・中盤・終盤を貫く総合力の養成」以外にはありえないという確信に至りました。まずは解説に記された枝葉の変化などは後回しにして、全体の大きな幹線道路を、速度制限など無視して、思いっきりレーシングカーでぶっ飛ばしてみると、どうなるだろうか?

 そんな暴走族的な発想から、私の試行錯誤が始まりました。結論からいうと、これが鉱脈の発見、につながったのでした。