Ⅲ 盤外こそわが戦場A(10)

Pピリ将FINAL

 

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「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

Ⅲ 盤外こそわが戦場A(10)

 盤外戦術というと、卑怯だとか汚いだとか、そういう声が聞こえてきそう。

 たしかに、一般的なイメージは、そのようなものでしょう。そして、事実がそのようなものだとしたら、私はそれほど推しません。

 しかし、すべての盤外戦術が卑怯で汚いというわけでもないと、私は考えます。大切なポイントは、それがルールの問題なのか、モラルの問題なのかという点。さらにいうと、モラルの問題であったとして、重いか軽いか。

 早とちりさせないように、もう少し、丁寧に説明を重ねていきましょう。

 まず、ルールに反していることは、やってはいけないし、やりません。たとえば、悪名高いソフト指し。前のブログでは、この話題がダントツでアクセス第1位でした。(いわゆる「釣り」だったのにね。)これはモラル以前に、ルール違反ですね。ですから、ダメ絶対。

 相手に気づかれない二歩なども、ルール違反なので、論外。ヘボ将棋でお互い二歩に気づかず指し続けているのは仕方がありませんけれども、わかってやっているのはNGです。

 全駒は、どうか。これはルール違反ではありませんが、モラルの問題。相手がモラハラしてきたら、こちらもやり返すことがまったくないわけでもないですが、私は基本的には人間相手にはやりません。そういうことをやっている人は、だいたいソフト指しもしていますよね。ルールやモラルといった規範意識が壊れているから。

 しかし、入玉して、しばらく泳いでいることぐらいは、私でもやります。ルール違反ではありません。モラルとしても、全駒ほどのダメージは与えないですし、万が一、ゆるんで逆転してはいけませんから、許容範囲かな、と。

 モラルの軽重という問題は難しい問題でしょうが、私は私の中で基準を設けていて、それに照らして適用しています。たとえば、時間責めは、私の中で罪悪感ゼロ。その代わり、時間での言い訳は一切認めていません。

 盤上では鬼になってよいと思いますが、盤外では鬼は解除しないといけないというのが、私の基本ルール。したがって、盤外でも将棋に関わることには鬼になるにしても、そうでないところはできるだけゆるめる方向性を持っています。人間的な部分で非人間的にふるまったり、相手を非人間的に遇したりするのは、禁止。

 将棋というのは、大きくとらえると、コミュニケーションの一手段。そのことを忘れてしまうと、大きな遠回りを余儀なくされることになるのです。

 大切なことは、一口に盤外戦術といっても、さまざまなヴァリエーションがあるということ。自分の中で軸を作り、きちんと整理しておくことをおすすめします。