Ⅰ はじめに感動ありきA&B まとめ
Pピリ将FINAL
「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)
Ⅰ はじめに感動ありきA&B まとめ
全体練習が終わってから一人で毎日100本シュート練習する先輩の話。
「毎日シュート練習して飽きないですか」
「はじめはすぐに飽きたね なんでこんなこと始めたんだろって少し後悔した
でも続けてるうちに段々気持ちが変わってきてそのうち面白くなってきた
シュートが決まる時と決まらない時の打ち出しの角度の違いとかリリースする瞬間の指先の感覚とか一本一本にいろんな気づきとか発見があることがわかった
そうなると面白い 楽しい」
これは、東大受験を目指す漫画『ドラゴン桜2』の17巻に出てくるエピソードです。
はじめに、動機がある場合でも、それが強いか弱いかはあると思います。しかし、それがたとい弱かったとしても、繰り返しているうちに「発見」があることも往々にしてあります。
思うに、はじめの「動機=感動」と、成長過程での「発見=感動」が相まって「上昇=常勝」へと向かうのでしょう。
「はじめに感動ありき」では、このような初発の「感動」と過程での「感動」をともに重視した上達法として、高速棋譜並べを紹介してみました。
高速棋譜並べは、それだけでは欠陥のある上達法ですが、低速・定速棋譜並べなど、他の棋譜並べや、他の上達法を組み合わせることにより、大きな成果が得られる上達法だと確信しています。
その最大の本質が「感動」にあることは、すでに繰り返し強調してきたところですが、より正確に言いなおすなら、それは「感動の分散」「感動の遅延」にあるのかもしれません。
高速で理解するには限界がある。だから、あとでゆっくり解説を読み、長考し、ソフトにかけ、実戦で試してみるという具合に、検証することになります。
意味がわからないままに宙づり状態に置かれると「気持ち悪い」と感じるのは、人間の本能ではないでしょうか。
はじめに感動があるのと同時に、途中にも感動があるし、ゴールにも感動が待っている。そのように、いたるところに感動を遍在させることが大切なのだろうと思います。そのために、さまざまな工夫を凝らすわけです。
位置エネルギーから運動エネルギーへと切り替える初発の感動、さらには加速していくプロセスの感動、達成感を味わえるゴールでの感動の3つの感動を手にすることに夢中になっているうち、いつのまにか、将棋自体も強くなっているはずです。